緊急入院~白血病の疑い~
「待合室は人が多くて、風邪とか移ると大変だから、ここで休んでいて。順番が来たら呼びに来るから」
総合病院の受付と採血を済まし、土曜日の混んでいる、内科外来の待合で座っていると、看護師さんが優しくそう言って、人が少ない休憩所に連れていってくれた。
一体何の病気なんだろう?
わざわざ待合室から離れた場所に連れて来られて……
不安に思いながら待っていた。
看護師さんが呼びに来て診察室に入ると
先生が
「一人で来たの?」
優しく言った。
「数値がかなり低くて、しばらく入院してもらわないといけない」
「白血病の可能性もある」
WBC 900
Hb 5.8
PLT 2.0
CRP 0.4
LDH 385
PT 48.8%
APTT 24.7
Fib 177
D-D 22.25
FDP 22.0
TAT 9.9
PIC 15.5
前骨髄球 3%
不明細胞 9%
先生は優しく静かに、ゆっくり説明してくれた。
今までの病院の先生の対応とは、全く違う雰囲気だった。
先生から説明を受けても、自分が白血病になるなんて全く信じられず、貧血じゃないかなと、どこか夢でも見てるような気持ちだった。
一度帰宅して入院のための準備をしたいと、先生に言ったけれど、
「外に出るのは危ないから家族に頼むように」
「そのまま病室に入ってもらう」
と、即入院となった。
家族に連絡し着替えを頼んで、友人には結婚パーティ欠席の連絡をした。
看護師さんに連れられて、入院病棟の広い個室に入り、体重や体調をチェックした。
トイレは部屋の簡易トイレを使用して、部屋から出ないように言われた。
「本当に白血病とかなんですか?」
「昨日まで仕事にも行ってたし、今日も自転車で来たのに」
「トイレまでなら行けるんですけど」
トイレも部屋でなんて嫌だと思った。
看護師さんは
「顔色も悪いし、下まぶたの裏、すごく白いでしょ」
「さっき壁づたいに歩いてたよ」
「それに部屋の外 特にトイレは 菌とか感染が危ないから」
「転院して専門の設備がある病院に移ったら、ちゃんとトイレも完備されている部屋になるから」
「病名はまだ専門の病院で検査をしないとわからない」
生まれて初めての入院。
白血病の可能性があると言われて、戸惑いと不安でいっぱいだった。
母親が駆けつけて入院担当の先生が説明した。
「白血病を含む、なんらかの血液疾患の可能性」
「非常に危険な"DIC(播種性血管内凝固症候群)"を起こす可能性がある」
「血液内科の専門医がいる、高次機能病院に転院してもらわないといけない」
「今、当たっているけど、ベッドが空いていなかったり、ちょうど三連休の休日時間帯で、受け入れ困難な状態でなかなか見つからない」
「転院先が見つかるまで、ここで対症療法をします」
感染予防に
手洗い、うがい、マスクをするように言われ、
面会も極力制限して家族にも、手洗い、マスク、ガウンをするようにと、家族や先生も部屋の入口で離れたところから話していた。
一体これからどうなるんだろう?
でもまさか白血病だなんて、何かの間違いじゃないのかな……
一人隔離状態にされて、ベッドで茫然としていた。