抗がん剤副作用・脱毛~クリーンルーム生活~



1本、2本、3本…

朝起きると枕についた、抜けた髪の毛を数える。

抗がん剤の副作用で一番恐ろしかったこと。

髪の毛が全て抜け落ちるということ。


抗がん剤治療が始まって、1週間~10日頃から、パラパラと髪の毛が抜けるようになってきた。

洗面台でシャンプーしたら、200本くらい抜けてしまった。


とうとうこの時がきてしまったんだと。

やっぱり自分は、白血病患者なんだと実感して、ショックだった。

最初の頃は、抜けてしまった髪の毛が惜しくて、よく数えていた。

毎朝、コロコロで掃除するのが、日課になる。


せっかく胸まで伸ばしていた髪が、抜けて無くなるなんて、、

自分が自分でなくなりそうに感じて恐怖だった。

柔らかくてストレートの髪質や、栗色の髪が好きだったのに、抜けてまた新しく生えてくると、髪質が変わる人もいると聞いて、ものすごく落ち込んだ。


人によって違うと思うけれど、女性の私にとっては、抗がん剤の副作用の脱毛で、体毛、特に髪の毛が全て抜けてしまうことは、すごく重要な問題だった。


看護師さんと相談して、バンダナ、帽子、かつら、ウィッグなどしている患者さんのことを教えてもらった。

より自然に見えるようにという希望で、ウィッグに帽子を被ったらいいかもと提案してもらい、早速、母親にウィッグと帽子を買ってきてもらった。


毛先がカールした、可愛いハーフウィッグに、ニット帽を被って、二つに結んだり、三つ編みにしてみると、すごく自然でいい感じになった。


自分の髪の毛が無くなっても、このウィッグで、長い髪の毛のある気持ちを保てて、オシャレも楽しめる。

ウィッグと帽子のおかげで、脱毛のショックが、少し和らいだ。


ただ、ごそっと大量に抜けてしまうのが怖くて、その時自分がどうなってしまうのかと心配で、ブラシでといたりシャンプーは我慢して、外泊の時に家で処理したいと思った。


抜けた髪の掃除が大変だから、みんな短くカットすると聞いて、妹に頼んで、長い髪をセミロングくらいに、クリーンのベッドでカットしてもらった。

みんなもっと短くするみたいだけど、髪を短くするのに抵抗があって、できなかった。

抜けにくいように、ゴムで結んでいた。


抗がん剤治療の点滴が終わると、副作用の骨髄抑制の影響で、白血球などのデータが下がっていく。


抗がん剤では、白血病細胞だけをねらって、叩くことができないために、白血球や赤血球など、正常な血液細胞も壊されて血球が下がり、好中球が減少し、免疫力が低下してしまう。

そのために、クリーンルーム(無菌室)の中で過ごして、感染予防に努める。


白血球が1000以上、好中球500位まで回復すると、クリーンルームから出て、一般の病室に移れる。

それまで、大体10日~2週間くらいの間は、赤血球や血小板の輸血をしたり、炎症、熱、下痢など、その時々の症状に対処しながら、退屈で長い一日を過ごす。


クリーンルームでの生活は、いろいろな規制があった。

面会は家族のみ。
生もの禁止。 
持ち込みできる食べ物や持ち物も、細かく決まりがあって、一覧表をもらった。


音楽を聴いたり、アロマをたいたり、TVは有料なので時々見るくらいで、友人が送ってくれたり、妹に持ってきてもらった、CD、DVD、マンガ、本などを読んで過ごした。


普段マンガは読まなかったけど、闘病中は文字が沢山ある本や、内容が難しい映画は見るのがしんどくて、読みやすい見やすいマンガや、DVDが気軽に見れて良かった。


気になっていた資格試験は合格していた。

けれど、今は資格どころではなくなってしまった。

あんなに無理して、頑張っていた日々は何だったんだろう。

本当に仕事とかできるくらいに回復できるのかな…

今はとにかく無事に治療を終えて、退院することが目標だ。


WBC   500
Hb       8.3
PLT     6.1
(Day 10)

まだ白血球は500。

本当に数値が上がって、ここから出られるのか不安になる。

早くクリーンルームから出たい!


骨髄が無事に回復してくれることを、毎日願っている。


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