スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

6月, 2015の投稿を表示しています

外泊~1ヶ月ぶりの外出~

季節はいつしかXmasシーズンになっていた。

緊急入院になった1ヶ月前から、ずっと病院内で過ごしていたので、いつも窓の外の景色を眺めては、外はどのくらい寒いんだろうと想像していた。


白血球が回復してくると同時に、体の炎症も治っていき、人間の細胞、白血球のパワーを実感した。 


目の上にできた吹き出物の炎症で熱が出て、皮膚科の先生に治らなければ切開すると言われていたけど、白血球が上がると炎症が治まった。


入院生活も1ヶ月近くになり、退屈でストレスもMAXになってきた。

血液データはまだ回復していないけど、病院にいてもすることがなくて、気分転換した方が心身共に元気になるかもと、外泊の許可がでた。

感染対策をしっかりして、何か異変があれば、すぐに病院に戻ってくる約束をして。

WBC   1000
Hb        7.8
PLT     13.4
(Day 24)


やっと念願の外泊だ!
家に帰れる!
嬉しい!

心が弾んだ。


病院の玄関の自動ドアが開いた瞬間、外からの冷たい風が頬に触れた。

空気の匂い、頬に当たる風の感触。

目の前に広がる、外の自由な世界。

1ヶ月ぶりに外の世界に出て、こんなに素敵な世界に生きていたんだと、すごく感動した。


ずっと閉鎖された、クリーンルームの中にいたから、外の世界がとても新鮮に感じた。

空が綺麗、緑が美しい、風が心地よい。

今までこんなに五感を豊かにする、素敵な世界に住んでいたのに、当たり前すぎて、何の感謝も感動もしなかったけれど、自然界の美しさや癒しの力、人間界のエネルギッシュな力を実感した。


街ゆく人たちの姿も新鮮に映った。

Xmasのイルミネーションもあって、キラキラした世界に見えた。


母親とデパートに、予備のウィッグを見に行って、可愛いウィッグをgetした。

人混みの中を歩くだけでドキドキした。

マスクをして、ウィッグにニット帽姿の私。

きっと誰も私のことを、白血病治療中の患者とはわからないだろう。

普通に健康な人の姿に映っているんだろうなと、街を歩けるだけでワクワク嬉しかった。


久しぶりの家に帰った。

懐かしくてドキドキした。
犬にも逢えて嬉しかった。
家に帰れるなんて感動。
でもしんどくてへばっていた。


1ヶ月前、紹介状を持って総合病院を受診した、あの日のことを思い出した。

まさかこんな展開になるとは想像していなかった。

いろ…

病棟~白血病患者同士の交流~

「ねえちゃん、夏目雅子みたいやな」

病棟の食堂で、知らない患者のおじさんに声をかけられた。

なんかイラっとして
「私、死にませんよ!」と言い返した。


初めての入院生活。
クリーンルームから出られたけれど、他の患者さんとうまく溶け込めなかった。


「死」に対する言葉にすごく敏感になっていて、「死」を連想することを言われるだけで
過剰に反応してしまう。


健康な時なら、なんとも思わない言葉にも、すごく敏感になっていた。

家族、看護師さん、患者さんなど、ちょっとした言動で、腹が立ったり傷ついた。


すごく揺れ動く感情に、自分でもどうしていいかわからなかった。


寝不足、貧血、体力が落ちて、輸血をすると少し回復するけど、フラフラでしんどい。

抗がん剤の副作用の脱毛で、髪の毛が抜ける量も増えてきて、シャンプーしたら半分くらい抜けてしまった。

髪の毛が無くなるよー!

抜けた大量の髪の毛を見て、ショックで泣いた。

自分は白血病なんだと思った。


ウィッグと帽子を被るようになった。

大量に抜けてしまうのが怖くて、頭がかゆくなってきても、シャンプーはできるだけ我慢していた。

毎日どんどん抜けていくだけで、恐怖だった。

WBC  1200
Hb      6.2
PLT     6.6
CRP     0.4
(Day 20)

食堂で一人、食事をしていると、一人の同年代の男性に出会った。

彼は「悪性リンパ腫」

私は「急性前骨髄球性白血病 M3」と話した。

彼は
「じゃあ、アンディ・フグと一緒だね」

「今、入院している男性の中に、AML(急性骨髄性白血病)の他の型の人たちがいるよ」と言った。

アンディ・フグと同じ――

その言葉が胸に突き刺さった。

自分も死ぬのかと怖くなった。

M3は治る可能性が高いと聞いていたから、少し安心しているところがあった。

けど、白血病で亡くなられたアンディ・フグさんと、同じAMLの型だと知ってショックを受けた。


部屋に戻って、Dr.の回診の時に聞いてみた。

「先生、私アンディ・フグと同じ型だって、他の患者さんに言われたけど、本当ですか?」

「誰がそんなことを……」と
Dr.はしばらく躊躇してから説明してくれた。

「同じ型だけど彼はきっと、初期の時に亡くなってしまったんだと思う」

「M3はDICの出血傾向が強く、初期の時が一番危険で、昔は出血死で亡くなる人が多かった」